中央統計局(Central Statistical Office、CSO)は労働力調査(Labour Force Survey、LFS)を公表しており、2018年第2四半期から四半期ごとに実施されています。2025年第2四半期の調査では、15歳以上の89,745人のうち、就業者は51,159人、労働力人口は57,379人でした。労働力率は63.9%、労働力人口に占める就業者の割合は89.2%でした。男性の労働力率は67.7%、女性は60.0%でした。15~24歳では、労働力率が55.5%、失業率が26.3%でした。若年失業率は女性が34.4%、男性が14.6%でした。失業率は労働市場に関連する指標ですが、労働市場全体を定義するものではありません。 グレナダには6つの教区と、カリアク島およびプティ・マルティニーク島の属島があります。セント・ジョージ教区の人口は39,894人で、総人口の35.42%を占め、次いでセント・アンドリュー教区が28,201人、カリアク島とプティ・マルティニーク島が6,010人でした。人口の約67.5%は農村部、32.5%は都市部に住んでいました。経済活動とインフラはセント・ジョージ周辺に集中していますが、他の地域では移動距離やサービスへのアクセスが就業や職業訓練の選択肢に影響することがあります。2025年第2四半期の調査では、教区別の就業率について信頼できるデータが示されていないため、過去の数値を現在の状況に当てはめるべきではありません。 2025年第2四半期の主な雇用分野は、卸売・小売業および自動車修理業が13.2%、建設業が10.6%、宿泊・飲食サービス業が10.3%、農林水産業が6.9%、製造業が6.7%、教育が6.7%、行政・防衛が5.7%、保健衛生・社会福祉が5.0%、運輸・倉庫業が4.9%、管理・支援サービス業が4.6%でした。サービス業と観光業の比重は大きい一方、農業も引き続き重要です。観光、建設、農業は、季節的な需要、気候事象、自然災害の影響を受けやすい分野です。調査では、産業について16.0%、職業について16.8%の回答が「無回答」だったため、産業別・職業別の割合は完全な登録統計ではなく、調査による推計値として読む必要があります。 職業別では、サービス・販売職が19.9%、技能工・関連職が12.0%、単純労働職が11.2%、技術者・準専門職が8.8%、事務職が6.8%、熟練農林水産業従事者が4.8%でした。職業の傾向には男女差があり、女性はサービス・販売職が28.8%、事務職が11.7%で、教育・保健分野にも多く従事していました。一方、男性は技能工・関連職が19.4%で、建設や農業に関連する仕事にも多く従事していました。これらは労働市場の傾向を示すものであり、個人が特定の職業に就けるかどうかを決めるものではありません。 教育・技能の経路には、5~16歳の義務基礎教育、中等教育後期、学校修了証(School Leaving Certificate)、技術・職業教育訓練(technical and vocational education and training、TVET)、中等教育後の学習、高等教育が含まれます。TVETにはレベル1~5があり、カリブ職業資格(Caribbean Vocational Qualification、CVQ)または国家職業資格(National Vocational Qualification、NVQ)の認定につながる場合があります。2009年に設立されたグレナダ国家訓練機関(Grenada National Training Agency、GNTA)は、コンピテンシー基準195件、認定訓練センター16か所、2021年までに記録された資格5,000件以上を報告しています。訓練分野には、建設、電気工事、配管、情報通信技術、ホスピタリティ、介護、農業、農産食品、修理、デジタル技能が含まれます。GNTAの既習技能認定では、すでに身に付けた実務技能が認められることがあります。スキルズ・フォー・ライフ証明書(Skills for Life Certificate)も、技能を基盤とする別の経路です。 テクニカル・アンド・アライド・マネジメント・カレッジ(Technical and Allied Management College)、NEWLO、グレナダ産業開発公社(Grenada Industrial Development Corporation)は、中等教育後の学習、訓練、起業支援に関わる機関です。SAEP職業技能訓練、見習い制度、就職紹介などのプログラムは、16~35歳を対象としています。カリブ地域デジタル変革プロジェクト(Caribbean Regional Digital Transformation Project)もデジタル技能の育成を支援しています。雇用主は技能のミスマッチを繰り返し指摘しているため、資格は現在の求人、職業に必要な実務能力、カリブ地域での資格の通用性と照らして検討する必要があります。 就業者のうち、民間企業の従業員は57.0%、中央政府職員は15.2%、従業員を雇わない自営業者は15.4%、従業員を雇う自営業者は5.4%、法定機関の職員は4.3%、家事労働者は0.8%でした。国家保険制度(National Insurance Scheme、NIS)の現役加入者は40,525人で、16~64歳の就労年齢人口の約48.78%でした。NISの加入状況は、すべての雇用関係を捉えるものではないため、正規雇用全体を示す指標ではありません。国際労働機関(ILO)の推計では、インフォーマル雇用は雇用全体の約30%を占めていました。そのため、所得、保護、書類の整備状況は、正規雇用とインフォーマル雇用で異なる場合があります。 2023年最低賃金令(Minimum Wages Order 2023)は2024年1月1日に発効しました。一般最低賃金は月額EC$1,200または日額EC$60です。職種別の賃金には、警備員が時給EC$9.25、農業労働者が日額EC$60、建設労働者が日額EC$60、建設補助員が日額EC$65、事務・管理・レジ・受付業務が月額EC$1,200、高齢者介護職が月額EC$1,400、調理師・バーテンダーが時給EC$9.50、ウェイターが時給EC$9.25、ポーターが時給EC$8.50などがあります。2025年第2四半期の総月給データでは、回答のあった就業者の24.3%がEC$1,200~1,999、19.8%がEC$2,000~3,999、11.6%がEC$800~1,199、3.8%がEC$400~799、4.0%がEC$4,000~5,999、2.3%がEC$6,000以上でした。総月給は回答の33.2%が「無回答」で、現在の表から信頼できる平均値、中央値、男女賃金格差を導くことはできません。 2023年第3四半期には、就業者の58.23%が通常週35~40時間、10.44%が35時間未満、21.26%が41~50時間、8.23%が60時間以上働いていました。長時間労働を報告する割合は男性の方が高く、パートタイム労働は女性の方が多い傾向でした。季節雇用や一時雇用は、特に観光、農業、建設で重要です。労働局(Department of Labour)は、1999年雇用法(Employment Act 1999)、1999年労使関係法(Labour Relations Act 1999)および関連規則に基づき、労働市場の行政事務と検査を担っています。雇用主と労働者は、国家保険の控除・納付、労働安全衛生、税務コンプライアンス、就労許可の条件にも対応する必要がある場合があります。 グレナダの求人マッチング制度は、現在も整備途上です。労働局は、雇用主と求職者を登録し、職業紹介機関として機能することを想定されています。求人情報は提供されていますが、ウェブ型の職業紹介機関は開発中です。労働市場情報(Labour Market Information)とは、求人、労働者、技能、雇用条件に関する情報の収集と提供を指します。公的な職業紹介サービスと労働市場情報システムは、まだ十分に整備されていません。積極的労働市場政策は分散した状態にあり、求職支援、職業紹介、労働移動、直接雇用、訓練、起業支援、対象者別プログラムが含まれます。若者、女性、農村地域、中小企業が優先対象です。 グレナダ国籍を持たず、グレナダの民間部門で働く人は、通常、就労開始前に就労許可を取得する必要があります。許可証には雇用主、労働者、産業、職業が記載され、通常の有効期間は1年で、他者や別の雇用主への譲渡はできません。雇用主を変更する場合は、新たな許可が必要です。職種によっては、少なくとも3週間の国内求人広告が必要で、許可条件に現地人材の訓練義務が含まれる場合もあります。通常、申請には申請書、パスポート、写真、雇用主の書簡、警察証明書、および必要に応じて公証済みの資格証明書が必要です。必要書類がそろった申請の法定処理期間の上限は12営業日で、更新申請は有効期限の少なくとも3か月前に提出する必要があります。申請料は返金不可のEC$100です。年間許可料は、指定されたカリブ諸国の国民がEC$1,000、その他の英連邦諸国、北米、英国、欧州連合の国民がEC$3,000、それ以外の国籍の人がEC$5,000です。東カリブ諸国機構(Organisation of Eastern Caribbean States、OECS)加盟国の市民とカリブ共同体(Caribbean Community、CARICOM)の技能証明書(Skills Certificate)保持者は、適用規則のもとで手数料が免除される場合があります。カリブ共同体技能証明書の手続きは外務省が担当し、移民・旅券局と労働当局は関連する移住・雇用手続きを担当します。季節農業労働者プログラム(Seasonal Agricultural Worker Program)は、健康要件と警察記録に関する要件を満たす18~65歳の申請者を対象とした、カナダでの一時的な農業就労経路です。 グレナダの労働市場は、農業の比重が大きい構造からサービス業と観光業を中心とする構造へ移行してきましたが、農業と建設も重要な就業分野として残っています。新型コロナウイルス感染症によるショックの際、2020年の国内総生産(GDP)は13.8%減少し、その後は観光と公的施策に支えられて回復しました。2024年のハリケーン・ベリルと継続する気候リスクは、災害によって雇用が急速に影響を受ける可能性を示しています。離職率の高さと非正規の仕事も不確実性を高めます。改革に関する議論では、ブルーエコノミー、文化産業、介護、製造業、情報通信技術、再生可能エネルギー、廃棄物管理が、将来の需要が見込まれる分野として挙げられています。現実的な判断には、現在の求人、確認できる賃金と労働時間、勤務地、必要な技能、契約状況、法的保護、季節的な混乱の可能性を合わせて検討する必要があります。
グレナダの労働市場
グレナダの労働市場は、正規雇用と規模の大きなインフォーマル経済が共存しています。2025年第2四半期には、労働力人口は57,379人で、労働力率は約64%でした。サービス業、観光、建設、農業が主な就業分野ですが、賃金や就業機会へのアクセスは、職種、資格、教区、季節、就業形態によって異なります。
ヒント
グレナダの労働市場は、サービス業中心の小規模な市場で、就業機会へのアクセスにばらつきがあり、季節的なリスクもあります。職名だけに頼らず、職種、資格、教区、労働時間、賃金、契約状況、仕事が続く見込みを比べて、仕事や訓練の経路を選んでください。グレナダ国籍を持たない人が民間部門で働く場合は、就労開始日を決めたり仕事を始めたりする前に、就労許可の要否を確認してください。

