トリニダード・トバゴには伝統を一元的に管理する機関はありません。責任は、文化・地域社会開発省、その文化局、国立カーニバル委員会、NALIS、国立公文書館、国立博物館・美術館、トバゴ議会、トバゴ祭典委員会、地域・村・信仰団体に分かれています。家族、パンヤード、学校、文化センター、指導者も、直接に慣習を受け継がせています。パンヤードとは、スティールバンドが練習・演奏し、地域のつながりを築く場所です。「ライム」は気軽な交流の時間を意味し、「フェット」は音楽と踊りを中心とした祝宴です。 カーニバルは、毎年行われる国を代表する伝統です。灰の水曜日の前の月曜と火曜にトリニダード・トバゴ各地で開かれ、午前4時ごろ始まるジューヴェール、バンド、マス、スティールパン、カリプソ、ソカ、エクステンポ、フェットなどがあります。マスとは仮装演技と衣装の文化です。よく見られる登場人物には、ジャブ・ジャブ、ジャブ・モラシー、ミッドナイト・ロバー、ダム・ロレイン、セーラー・マス、ファンシー・インディアン、モコ・ジャンビーなどがあります。ガイエルの伝統には棒術と関連する演技慣習が含まれ、カンブーレーの追悼行事は古い文化形態とカーニバルを結び付けています。子ども向けや地域のカーニバルは、主要パレード以外にも参加機会を広げています。 年間行事には、1994年以来の祝日である5月30日のインディアン到来記念日もあります。ファテル・ラザック号の到着再現、音楽、踊り、地域功労者の表彰などが行われます。ディワリは日付が変わる祝日で、家の掃除や飾り付け、ディヤの灯明、家族・近隣訪問、プージャー、プラサードがあります。宗教的な教えは宗教の領域ですが、社会的・文化的な慣習は伝統の領域です。ディワリ・ナガルでは通常、約1週間の文化、教育、商業プログラムが開かれます。イード・アル=フィトル、ホーセイ、パグワ、ラームリーラーには祝祭、音楽、衣服、地域社会の慣習があり、教義は宗教の文脈に属します。8月1日の奴隷解放記念日には、アフリカ・カリブ海の音楽、踊り、講演、ファッション、工芸、アナンシの物語などの口承伝統があります。1996年以来の祝日である3月30日のスピリチュアル・バプティスト解放記念日には、公的な顕彰、衣服、鐘、旗、音楽があります。神学や詳しい儀式には宗教の文脈が必要です。クリスマスの伝統には、パランの楽団、コンクール、レワ、レ・ロワ、ソカ・パランがあります。 先住民の伝統は、アリマとサンタ・ローザ先住民コミュニティに強く結び付いています。8月のサンタ・ローザ祭と、10月14日ごろのヘリテージ・ウィークでは、カリブ・クイーン、一般向け行列、見本市、煙の儀式、水の儀式などが行われることがあります。一般向け行事は誰でも参加できる場合がありますが、神聖な要素は地域社会の規則に従います。トバゴには、村を中心とした独自の年間行事があります。通常7月中旬から8月1日まで約2週間続くトバゴ遺産祭では、物語、歌、踊り、音楽、モライアの「昔ながらのトバゴの結婚式」の再現、ゴールデン・レーンとレ・コトーの民話と迷信、「昔遊んだゲーム」、サラカの宴、祈りの舞などがあります。その他のトバゴの伝統には、復活祭ごろのブクー山羊・カニ競走、トバゴ・カーニバル、地域の収穫祭や村祭りがあります。 人生の節目に関する伝統には、サリー、チョーリー、オルニ、サルワール・カミーズ、ドーティ、クルタといった東インド系の婚礼衣装のほか、メヘンディ、音楽、踊りがあります。「昔ながらのトバゴの結婚式」は歴史的な婚礼行列の再現であり、法律上または家族で普遍的に行われる手順を示すものではありません。スピリチュアル・バプティストの洗礼と葬送は記録された人生儀礼ですが、宗教上の細部は地域社会によって異なります。出生や葬儀の伝統に全国共通の標準があることは、利用可能な調査では確認されていません。 音楽と踊りの伝統には、アフリカ、先住民、ヨーロッパ、インド、中国、中東の影響が組み合わさっています。スティールパンは国民楽器で、トリニダード、とりわけポート・オブ・スペインは、その発展とカリプソ、カーニバルで知られています。ほかに、チャツネ、チャツネ・ソカ、パラン、ソカ・パラン、ラプソ、タッサ、ベレ、ボンゴ、リンボー、クチプディ、タッサを使う地域演奏があります。主な楽器には、スティールパン、タッサ、ドーラク、タブラ、ダンタル、カンジリ、シタール、ハーモニウム、パランで使うクアトロなどの弦楽器があります。工芸には、マス衣装、張り子、羽、ビーズ、布地、仮面、頭飾りのほか、スティールパン製作、陶芸、宝飾、織物、仕立て、籠作り、彫刻、造船、建築があります。先住民やインド系トリニダード人の工芸技術は、地域社会や小規模事業の営みに今も受け継がれています。 地域によって意味や参加の機会が異なります。ポート・オブ・スペインとトリニダードの都市部は、カーニバル、スティールパン、カリプソの主要拠点です。アリマは先住民の遺産と結び付き、トリニダード中部・南部の地域社会は、ベスト・ビレッジ、タッサ、チャツネ、インド系トリニダード人の伝統と強く結び付いています。トバゴでは、トバゴ議会と村が主導する遺産事業、婚礼再現、民話、山羊・カニ競走、収穫の慣習がより中心的です。トバゴ固有の慣習をトリニダード全体の慣習として扱わないでください。 ほとんどの祭りは一般参加できますが、神聖な儀式は関係する地域社会の規則に従います。主催者には許可が必要な場合があり、交通、安全、カーニバルの要件を守る必要があります。費用は、衣装、楽器、バンド、交通、屋台、入場料によって異なり、無料の公開プログラムもあります。文化団体は、国民的記念日・祭典基金、文化・創造芸術基金、スポンサー、助成金を通じて支援を求められる場合があります。申請期間は各制度が定めます。祭典認証には、規約、執行部3人の略歴、少なくとも3年間または3回の催しに関する証拠が必要な場合があります。団体書類がない場合、執行部の少なくとも51%がトリニダード・トバゴ国民である必要があることもあります。 トリニダード・トバゴの伝統は、固定された民俗展示ではありません。クレオール化と継続的な融合がカーニバル、パン、ソカ、チャツネ・ソカ、パランを形作り、若者、ディアスポラ、観光、商業活動も慣習の演じ方や教え方に影響します。2010年7月22日のユネスコ条約批准は、保護と能力構築を支えますが、利用可能な調査では、トリニダード・トバゴの要素がユネスコ無形文化遺産代表一覧表に掲載されているとは確認できません。祝日や国家行事は継承を支える一方、商業化や真正性をめぐる問題は、慣習の担い手や見せ方を変える可能性があります。
トリニダード・トバゴにおける伝統
トリニダード・トバゴの伝統は、家族、地域社会、信仰団体、学校、文化団体で受け継がれ、変化し続ける慣習、象徴、表現です。カーニバル、スティールパン、カリプソ、宗教行事や家族の祝い、衣服、工芸、村祭り、地域ごとの慣習などがあります。一般参加の可否、費用、参加規則は、催しとそれを受け継ぐ地域社会によって異なります。
ヒント
一般に開かれた文化参加を希望する場合は、公開祭り、地域プログラム、パンヤードの催しを選び、神聖な慣習では関係する地域社会の規則に従ってください。地域ごとの背景に合った伝統を選び、催しごとの費用を予算に入れ、歴史再現と現在の家族・地域慣習を区別してください。催しを主催する場合は、告知前に許可、安全義務、資金条件、認証要件を確認してください。

